口から食べるためにわたしたちにできること

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訪問看護ステーションやごころ 看護師 飯塚千晶

 生活を支える医療を提供する中で、基礎を支える食事・口から食べるために必要なこと、それは口腔ケアです。では、なぜ訪問看護師が口腔ケアを伝えるのでしょうか。

 現在日本の死因は、第1位:悪性腫瘍、第2位:心疾患、第3位:脳血管疾患と言われておりますが、要介護高齢者の死因第1位は肺炎(誤嚥性肺炎を含む)という結果が現われています。要介護高齢者とは、要介護認定を受けていて、介護保険のサービスを利用できる方のことを言います。

 加齢とともに、肺炎で亡くなるリスクがぐっと高くなりますが、実は、誤嚥性肺炎は予防できる病気です。では誰が、その病気を予防するのでしょうか。それは、私たち在宅サービスの社会資源におけるケアサポートチームだと考えています。職種によって介入頻度が異なるので、チーム全体で口腔内環境に意識を持つことが重要となります。みんなの意識改革で誤嚥性肺炎は予防することができるのです。

 次に、高齢者の孤食問題についてお話します。高齢者の孤食のデータ(2018年3月農林水産省の食育に関する意識調査報告書より抜粋)では、一人で食べることがある人の割合は、60代では男性22.7%、女性28.4%、70代では男性20.0%、女性33.5%となっています。孤食の方は、誰かのために食事を用意するということがないため、栄養バランスが偏りがちとなり、加齢に伴う口腔機能の低下や一人で食べると食欲がわきにくいということもあり、食事量も低下しやすくなります。食事から必要な栄養やエネルギーをとることができないと筋肉量が減少し、活力が低下します。さらに食欲が落ちて栄養不足となるという悪循環が待ち受けています。

 その悪循環を防止するための解決方法は共食をすることが1つあります。共食をすることで栄養バランスが調った食事をとる機会が増え、コミュニケーションをとりながら食べることで食事が美味しいと思えるようになり、そして食欲も増していくのです。

 私は、このような活動を通して皆で楽しい食事の時間を共有したいと考えています。私がいる地域において、2019年4月より通所型住民主体サービスを始めました。運営メンバーは、訪問看護師、福祉用具専門相談員、そして地域の方々です。ある一軒家の1階部分をお借りして、週1回、昼食会を開催しています。現在、コロナ感染の影響から、余儀なく一時的に中止をしていますが、地域高齢者の介護予防、生活支援、閉じこもりの防止を目的として、高齢者に限らず地域にお住まいの方々の交流の場になるようにしていきたいと思っています。

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