食支援における薬剤師のトリセツ

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龍生堂薬局
薬剤師 豊田義貞

 保険薬局の地域における役割は大きく二つあって、一つは地域医療の物流拠点、もう一つは開かれたコミュニケーションスペース(健康・生活に係る相談応需)です。私たち薬剤師はこれらの役割を認識し、皆さんの健康な生活を確保することを目的として日々業務にあたっています。かつては「町の科学者」と喩えられることもあった薬剤師。その専門性は主に化学に特化しており、他職種に比べ客観的な思考をもつことから、食支援におけるその立ち位置は「キープレフト※」であるものと、私は考えています。例えば、ゼリーを一口食べられたからといって、胃瘻も点滴も要らない、内服薬も使えると早々に考えてしまう人たちがいます。仮に食べられる状態に戻れる可能性があるとして、それまで何か月も 1 カップのゼリーと少しの水だけで人は生きていけるのでしょうか?力がつくでしょうか?まず全身状態をきちんと整え、必要に応じて人工栄養も活用しましょうと、冷静に意見を言うのが薬剤師です。食支援と人工栄養は対立するものではありません。後者は道具・手段です。正しい目的があって適切に使用されたなら、人の健康に寄与できるものだと考えます(※一般的に「道路の左側に寄って走る」という交通用語と捉えられがちだが、本来は「安全かつ円滑な交通を確保すること」をドライバーに啓発することを目的とする)。
 さて、薬と摂食嚥下の関係は重要であるものの複雑です。今回は 5 期型嚥下モデルに照らし簡単に解説しましたが、食欲・食事動作・咀嚼・嚥下など、種々の食行動に影響を与える薬剤が多数存在することが分かっており、今回は皆さんにとって意外なアノ薬が!というのもあったようです。特に薬剤性口腔乾燥症は食欲や味覚、咀嚼、嚥下など幅広く影響し、特に高齢者の場合は中止後の改善率も悪いという報告も多数あるため要注意です。生活機能の変化をつぶさに観察し、原因薬を検索する丁寧な仕事を心がけています。
 人の幸福に直接的な関りをイメージしにくい私たちですが、社会生活や健康の土台となる生命の維持を担っており、他職種の方々との繋がりから、結果的に人々を幸せに導いているものと信じ日々業務にあたっております。

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