1.呼吸療法認定士を目指すきっかけ
胡谷 奏
呼吸療法認定士の多くはICUなどの医療機関で働いています。人工呼吸器管理の患者さんを見た事がある方でも、緊張したり、戸惑ったりする事が多くあると思います。
私が呼吸療法認定士を目指そうと思ったのは、急性期病院で働いていた時、50代の血液疾患の方が肺炎でなくなった事がとてもショックだったからです。それまでも、私はがん患者さんを看取る事があり、予後予測をしたり、医師から病状を確認したりする事で何となく呼吸療法に取り組む覚悟はできていました。
その方は私の父くらいの年齢で、頑張って治療をし、無菌室内でリハビリに励んでいました。本人は、「少しでも部屋代の足しになれば」と携帯で馬券を買い、週末の競馬の時間を楽しみにしていました。しかし、その方が肺炎となり亡くなるまでの時間はあっと言う間で、当時、その方がICUに運ばれた後、私には何もできませんでした。
その後、私は呼吸療法認定士を取得し、ICUでの呼吸リハビリテーション(以下、呼吸リハ)や肺炎で入院した小児の呼吸リハを経験させて頂きました。人工呼吸器管理をしながらの呼吸リハは、緊張しましたが、知識がある事で落ち着いて対応できました。不安でいっぱいの子供たちに呼吸リハをし、レントゲンから肺炎像がみえなくなっていることがわかると、如何に呼吸リハが重要であるかを再認識するのでした。
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