3.呼吸療法認定士が考える食支援
胡谷 奏
COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器疾患の方は肺でうまく酸素と二酸化炭素の受け渡しができず、頑張って呼吸をするので呼吸仕事量が増加し、多くのカロリーを消費することになります。また、低酸素状態によって気分が落ち込んだり、認知機能の低下が起こったりします。さらに、活動量の低下により筋萎縮も起こります。食事を食べたいけど食べる時に、咽たり呼吸と嚥下のリズムがズレて疲れてしまい、さらに食欲が低下します。この悪循環を断ち切るために栄養療法と運動療法などを同時に行う必要があります。地域のリハビリの専門職が栄養療法を改善させる事が呼吸状態の安定や日常生活動作(以下ADL)の改善に繋がる事を意識していかなければなりません。
在宅での酸素療法や人工呼吸器は、急性期病院などに比べると簡易的で管理し易いのが特徴ですが、病院のようにモニターの波形から痰の位置を確認したり、一時的に酸素濃度を調整したりできる訳ではないので、聴診や視診などのフィジカルアセスメントも重要になってきます。この、フィジカルアセスメントで重要なのは「木を見て森を見ず」にならない事です。呼吸ばかり気にするあまり、全身の羸痩や動作方法などをあまり気にしない事で、呼吸状態が安定してもADLが回復しない場合があります。理学療法士は筋力や痛みなどに注意が向きがちですが、その人の生活全体を捉えて問題解決していく必要があると考えています。
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