食事の支援が必要な方へ

 食事についての支援が必要な状態というのはどのような状態のことをいうのでしょうか?
 これから食事の支援に関する10のポイントについて説明します。ご自身、またはご家族や近しい方のことを考えながらチェックしてみてください。

ポイント1:全身管理

 口から食べるという行為はかなりの体力を使うものです。基本的な体力、体調の管理は口から食べることに欠かせません。また、口から食べることが困難な方ほど全身への影響は大きいものです。これらのことからも全身管理の重要性は理解できるでしょう。

ポイント2:栄養管理

 体力、全身状況とともに重要なのは栄養状態です。残念ながら在宅では見過ごされがちですが、栄養状態が悪いのに体力がある人などいません。栄養を含めた全身を管理していくことがとても重要です。

ポイント3:口腔環境整備

 口から食べるとき、そこに歯がなかったら? 歯があっても痛みがあったら? その歯が揺れていたら? お口の環境は食べる機能を発揮させるために直接的に関与します。入れ歯を作る、歯周病のケアをする、むし歯の歯を抜くなど基本的な歯科治療により口腔環境を整えます。しっかり機能できるための口腔環境づくりは美味しく食べるための第一歩なのです。

ポイント4:口腔ケア

 しっかりとした口腔環境であっても、それが清潔に保たれていなければ十分な機能は発揮できません。日々の口腔ケアによって清潔な口を維持することで飲み込みの機能も向上し、誤嚥性肺炎を予防します。また、清潔だからこそ「美味しさ」を感じることができ、食欲や食べる喜びにもつながります。

ポイント5:摂食嚥下リハビリテーション

 口から食べるための機能が低下してしまうことがあります。噛む力、口の中で食べ物をまとめられない、食べ物を喉に送れない、飲み込めないなど。これらの障害を解決するためには機能訓練等が必要になることがあります。

ポイント6:食事姿勢の調整

 口から食べる機能が低下していない時は気にもしないかもしれませんが、いざ、口から食べる機能が低下してしまうと重要になってくるのが食事姿勢です。単に斜めになっているからまっすぐすればいいと言うわけではありません。姿勢が悪くなるには理由があります。その原因を理解し、用具などを利用して姿勢調整します。

ポイント7:食事環境調整

 食事を食べている机、椅子は食べるために適したものでしょうか。箸、スプーン、コップは使いやすいものでしょうか。部屋の配置は効率的でしょうか。環境を確認することは最も重要なことです。低下した機能はすぐに戻らないかもしれませんが、環境の整備はすぐに結果が出ます。

ポイント8:食事形態の調整

 食べにくいと言われたらどうしますか?単に柔らかくするだけでいいのでしょうか。どれくらい柔らかくすればいいのでしょうか。トロミっていつつければいいのでしょうか、どれくらいつければいいのでしょうか。実は、これらの判断は現在の食べる機能によって異なるものなのです。安全に美味しく食べるために食事形態を調整することが必要です。

ポイント9:食事作り

 食べるためには食事そのものが必要です。その方にあった形態のものをちゃんと提供すること。実際にその場で作ることだけなく、介護食品や配食弁当の利用なども考えられます。

ポイント10:食事介助

 食事が自立している方はいいのですが、一人で食事がとれない方もいます。介助する際、単にどんどん口の中に食べ物を押し込めばいいわけではありません。食事のペース、飲み込みの確認、スプーンの引き抜き方などテクニックが必要です。

食支援職種

 いかかがだったでしょうか?

 以上、10のポイントにはそれを支援することを得意とする専門の職種が存在します。以下にその職種の一覧の表を掲載しました。白よりも黄色、黄色よりもオレンジ、そして赤色が一番そのポイントの支援を得意とする職種です。

新食研に所属する各職種の連絡先

連絡を取りたい職種が見つかったら、次のリストより是非連絡をお取りください。新食研の優秀なメンバーがきっとお力になりますよ。

最新のメンバーのリストは こちら

・医師

医師のリストは こちら

・看護師

看護師のリストは こちら

・薬剤師

薬剤師のリストは こちら

・歯科医師

 歯科医師にできる食支援とは、次の3つです。口腔環境整備、口腔機能の評価、そして食べるためのリハビリです。口腔環境整備とは、義歯装着や残っている歯の処置をして食べられる口を作ること、それを口腔ケアによって維持していきます。また、口から食べる機能が低下した時、その評価を行い適切な訓練を提示します。さらに、管理栄養士と連携することによって栄養状態の把握や食形態の提案も行うことができます。

歯科医師のリストは こちら

・歯科衛生士

歯科衛生士は、歯科医師の指示のもと、口腔ケアや口から食べるためのリハビリを実践します。

☆食べるための口を整えます
機能低下や口の廃用、脳出血後遺症の麻痺などで食べる事に障害が出てしまった方に、口唇や舌、頬の訓練やマッサージ・咀嚼訓練・嚥下リハビリなどにより食べるための口の機能回復を図ります。

☆効率よい口腔ケア方法をご指導します>
美味しく味わえ爽やかな口であるためには日常の口腔ケアが大切です。その方のお口に合ったケア用品を選択しケアの方法をご指導します。また認知症などで口腔ケアに拒否がある・開口しにくい・がん治療中など口腔ケアが困難な方への対応方法をご提案します。

☆口腔ケアにより唾液分泌を促し口腔乾燥を改善します
唾液分泌を促すマッサージや粘膜のケア、口腔保湿剤の使用などを実施・指導します。

☆口の機能の維持や機能低下を予防します
口腔体操や歌などを一緒に楽しく行います。食べる機能だけでなく口腔ケアのかかわりから笑顔や発語を促し機能の維持向上を目指します。

歯科衛生士のリストは こちら

・管理栄養士

☆摂食嚥下能力にあった食事形態とその調理方法を提案します
むせる、口にためる、なかなか飲み込まない等のお困りの方に、とろみ剤の使用方法、調理方法、一口量などをお伝えします。

☆血液データに基づいた食事療法を検討します
糖尿病、腎臓病等で食事に気を付けなければならない時に、料理する方にも負担のかからない食事コントロール方法を考えます。

☆経口維持、経口移行へのアプローチをします
胃瘻等の経腸栄養の併用で、主治医と相談後口から食べる可能性があれば食べる喜びを継続できるように支援をします。

☆食生活が安心、安全に楽しくなる工夫を一緒に考えます
食事介助方法や一口量など安全に食べるための方法や、ご家族と同じ物やお好きな物が一緒に安心、安全に食べられる工夫を考え食事の環境作りをします。

管理栄養士のリストは こちら

・言語聴覚士(ST)

訪問STは、コミュニケーションや食べる問題を持つ方やその御家族に対し、豊かな生活が送れるような支援活動を行っていきます

STが対象とする主な障害は、ことばの障害(失語症や言語発達遅滞など)、きこえの障害(聴覚障害など)、声や発音の障害(音声障害や構音障害)、食べる機能の障害(摂食・嚥下障害)などがあります。これらの障害は、生まれながらの先天性から、病気や外傷による後天性のものがあり、小児から高齢者まで幅広く現れます。

STはみんなどの分野でも勉強しているので行えまずが、近年は分野が広すぎるので、自然に得意・不得意分野も生まれます。ですが御安心ください。不得手な分野の方が現れても、皆で、情報共有しながら、対応させていただきます。
リハビリテーションの計画について

STのみでリハビリテーションに関して、計画・立案を行うことはありませんが、皆さんの身近にいるからこその助言・進言はできます。個人個人でリハビリテーションの進行度合いは異なります。皆さんと共にがんばっていきたいと思います。

言語聴覚士のリストは こちら

・理学療法士(PT)、作業療法士(OT)

*食事姿勢の改善による嚥下能力の向上を図ります

食事の時に背中が丸くなったり、身体が横に傾いたりはしていませんか?食事の姿勢は飲み込み能力に大きく関係し、誤嚥の原因かもしれません。傾く原因を探し食事姿勢の改善を図ります。

*食事のリハビリテーション

身体機能や高次脳機能の障害が原因で食事がうまく行えない方に対し、身体のリハビリや環境設定により良く食事が摂れるようにアプローチします。

理学療法士、作業療法士のリストは こちら

・ケアマネージャー

 ケアマネジャーとは、介護や支援を必要とする人が介護保険制度を利用して自立した生活を送れるようサポートする仕事です。
具体的には、ご利用者様やそのご家族がどんなサービスが必要なのかニーズを把握してケアプランを作成し、ご利用者様が適切なサービスを受けられるように自治体や各事業者に依頼します。

ケアマネージャーのリストは こちら

・介護職員

 ホームヘルパーは、在宅の高齢者や障害者宅を訪問して、介護サービスや家事援助サービスを提供するホームヘルプ事業の第一線の職種です。介護サービスとは食事や入浴、排泄、衣服の着脱や移動などの支援です。家事援助サービスとは、調理、洗濯、掃除、買物などの援助や代行です。利用者本人や家族への精神的ケアを行うほか、家族に介護の技術的な指導を行うことも大切な仕事となっています。
 デイサービス相談員はケアマネジャーとの連絡調整、家族との連絡調整、介護補助などを行います。デイサービスの介護職員は送迎、レクリエーションの計画・準備・実施、食事介助、入浴介助など利用者様の快適な時間づくりに直接関与します。

介護職員のリストは こちら

・福祉用具専門相談員

 福祉用具専門相談員とは、利用者の心身の状態、希望、環境などを考慮し福祉用具を選定する職業のこと。専門的知識に基づいて相談に応じ、利用計画を立てるなど、介護保険法に定められた福祉用具のスペシャリストです。

福祉用具専門相談員のリストは こちら

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